体内時計から考える食品と栄養

摘要

私たちの身体は、太陽や時計による時刻情報がなくても、おおよそ24時間周期で機能するよう にできている。この体内にもともと備わっている 24時間リズムをCircadian rhythm (サ一力ディ アンリズム）と呼び、"Circa"はおおよそを表し、 "dian"は1日を意味することから、日本語では 概日（がいじつ）リズムと訳す。ただし、一般的 には"体内時計"という言葉で認知している人が 多いので、ここでは単純に体内時計と呼ぶ。睡眠 や覚醒、体温、血圧、エネルギー代謝、免疫など、 多くの生理機能は、この体内時計をベースに動い ている。人は昼行性であることから、エネルギー 代謝においては、昼の活動時刻に食事を摂つてェ ネルギーを蓄え（脂肪を合成し）、夜間の寝てい る間は蓄えた脂肪から熱ゃ糖を作って身体機能を 維持するようにできている。このような時刻毎の 代謝調節を体内時計が担つており、最近の研究か ら、不規則な生活によつて体内時計が乱れること で、ェネルギー代謝のノくランスが崩れ、肥満になつたり、様々な疾病リスクが上がることがわかつてきた。具体的には、シフトワークによって肥満のリスクが上がることや、休日の寝坊時間（平日と休日の時差から、Social Jetlagと呼ばれる)が大きい人ほど、BMIが高い傾向にある。このように、体内時計の観点からエネルギ一代謝を捉えると、 食事をいつ摂取するかということも非常に重要であることがわかり、"時間栄養学"と呼ばれる新 しい学問領域が生まれることとなった。