麹脂質を使った発酵助成剤

摘要

近年，バイオマスを微生物に発酵させて高機能成分を生産させる研究開発が盛んに行われている.しかし，バイオマスはさまざまな低分子の重合物であることから，それをまず分解しないと微生物が発酵できない.従ってまずは分解して低分子化するプロセスが必要となる.しかし，バイオマスの分解，特に含まれる炭素源の分解は糖などの有用成分だけでなく，さまざまな副産物，化学物質を生み出す.例えば，グルコースやキシロースなどの糖は分解の処理でバイオマスから生成するとそこからさらに分解して，フルフラールや5-ヒドロキシメチルフルフラール，グリコ一ルアルデヒドなどの化学物質を生み出す.これらの物質は発酵の過程で微生物に作用して，発酵阻害効果をもたらす.またリダニンは分解してバニリンなどのフエノール性化合物を生成し，これもまた微生物の発酵阻害物質である.さらに，炭素源を分解するときに，グリコシド結合を切断するために酸性やアル力リ性の液体で処理する必要がある.従って，これらの処理を行った後のバイオマスは酸性やアルカリ性の条件になっており，その後に引き続く発酵微生物はこうした酸性，アル力リ性の条件にさらされる.多くの場合，酸性あるいはアルカリ性の条件は微生物に発酵阻害を引き起こし，最終生成物濃度の低下を引き起こす.