学習時間の日韓比較 : 中学生・高校生調査をもとに

摘要

日韓の中学生・高校生調査に基づき，家庭における学習時間の比較分析を通して，次の五点を明らかにした。第一に，高校生の家庭学習時聞は，日本よりも韓国が非常に長く，大きな日韓格差が存在している。第二に，高校生の家庭学習時間の規定困として，日韓両国ともに，学校タイプと教育アスビレーションが挙げられるが，日本においてのみ階層が有意に効果を及ばしている。第三に，中学生の家庭学習時間は，高校生とは異なり，日韓両国ともにほほ同じである。第四に，中学生の家庭学習時間の規定因として，日本では階層が有意ではないのに対し，韓国では有意である。これらのことから第五に，家庭学習時間に関して，日本の場合は高校に入ってから階層による分化が進むのに対し，韓国の場合は，その逆になっている。このような日韓両国の教育社全の特徴は，努力の不平等問題を考える際にも興味深いものである。