Paclitaxelおよびdoxifluridine併用療法により良好な成績が得られた多発肝転移を有する切除不能胃癌症例について

摘要

内視鏡検査により，湾曲度の少ないⅢ型未分化腺癌で長径10cmの胃癌病巣を有する72歳，男性患者の症例を報告する。腹部CT画像では多発肝転移胃壁肥厚と側大動脈リンパ節肥大がみられた。 CEA値は60ng/mLでCA19－9値は1，355U/mLであった。 この患者にはdoxifluridime（800mg/day）とpaclitaxel（70mg/m~2の3週投与と1週間休薬よりなる併用を1コースとした）を投与された。 3コース終了後CRが得られ，主病巣，肝転移巣，腹部リンパ節肥大などの完全消失とともに腫瘍マーカー値の正常化がみられている。 有害反応としては，grade 1に限られた軽度の食思不振のみであった。 このCR状態は1年2か月続いた。 これらの成績から，paclitaxelとdoxifluridiineの併用療法は切除不能進行胃癌にとって一つの有効な治療法と考えられた。