果実、果汁飲料と機能性成分（21)ュズの香気成分とその機能性

摘要

カンキッ類の世界の生産量は約1億3千万トン (FAOSTAT, 2012)であり，1993年以降は，世 界の4大果実（カンキッ，バナナ，リンゴ，ブド ゥ）の中で第1位である。言い換えれば，カンキ ッ類は世界の人々にもつとも好まれている果実と もいえる。中国，ブラジル，米国などの主要生産 国ではォレンジが主体である力《，日本では温州ミ カンがもっとも多く，その他，甘夏，ボンカン， ブンタンなどの多種の雑柑類が生産されている。 カンキッ類は，食品化学的には，生食用カンキッ と香酸カンキッに分類される。前者は，糖酸比 (糖度/酸度）の高いオレンジ，温州ミカン，グレープフル ーッであり，後者は，糖 酸比の低い (1以下）レモン，ラ ィム，ュズ などである。 レモン，ラ ィムは世 界各地で生産されているが，ュズの商業的生産国は現在，日本と韓国に限られている。ュズは日本では1300 年以上の歴史があり，古の昔より日本人に親しま れてきたカンキッである。本稿では，ュズの香気 的特徴，搾汁加工品，およびュズの香りとしての 機能性について紹介する。