マウスの慢性アルコール性肝障害モデルにおける清酒濃縮物，α－エチルグルコシド投与の影響

摘要

古くより，「酒は百薬の長」と言われ，適量飲酒が健康維持に役立つことが言われている。 近年，日本人を対象とした疫学研究においてもこのことが証明されている。 清酒消費量が多い地域では肝硬変による死亡率が低いことを証明した疫学研究例があり，清酒には肝保護作用があることが示唆されていたが，詳細な検討は行われていなかった。 筆者らは，これまでに清酒の肝保護作用を明らかにするため，マウスにおける清酒濃縮物（CS）と清酒成分のガラクトサミン（GalN）誘発肝障害抑制効果の検討を行った。 この結果，CS及びアミノ酸，有機酸，糖を主成分とする清酒画分濃縮物がGalNによるグルタミン酸－ピルビン酸トランスアミナーゼ（GPT）とグルタミン酸－オキサロ酢酸トランスアミナーゼ（GOT）の上昇を抑制することを明らかにした。 さらに清酒糖画分に注目し，清酒特異的な糖成分であるα－エチルグルコシド（α－EG）が有意にGalNによるGPTとGOTの上昇を抑制することを明らかにした。 また，α－EGは構造が類似であるα－メチルグルコシド，β－エチルグルコシドよりもGalN肝障害抑制効果が高いことを示した。CSとα－EGはGalNが誘導するIL－6産生を抑制しており，これにょってGalN誘発肝障害を抑制することを報告した。