人物の印象形成に顔と声が及ぼす影響－既存情報の印象に基づく未知情報の具体的推測

摘要

本研究の目的は，特定人物の顔と声という既存手がかり情報から形成された印象に基づいてその人物に関する未知情報を具体的に推測する場合，推測内容が評価者間で一致する傾向および各既存手がかり情報の重みづけの2点について実験的に検証することであった．実験では，人物の顔と声を既存手がかり情報として実験参加者に提示し，きょうだい構成や食の嗜好といった未知情報について具体的に推測することを求めた．実験結果から，推測内容は評価者間で一致する傾向が高いことが明らかになった．また，顔と声による印象が一致していた場合もしくは一致していなかった場合の両方において，顔もしくは声に基づく印象が相互に作用しあって推測がなされるのではなく，どちらか一方の印象に基づいてのみ推測がなされるという知見が得られた．