中小企業食品製造施設に対するHACCPの取り組み

摘要

私たち人間は，他の多くの生物とかかわりあいをもちながら日々の営みをしている。なかでも微生物とは密接な関係を持っている。 たとえば，酒，味噌，醤油，チーズなどの「発酵食品」，ゴミの腐敗分解や水処理などの「環境浄化」や耕地の「肥沃化」，などはいずれも微生物の働きによるものである。 紀元前4000年ころには古代メソポタミアではビール醸造が行われていたし，紀元前200年ごろの中国奏の時代には醤油や味噌のルーツとされる醤髄（ひしお）や鼓（し）が製造されていたという。 また，発酵調味食材であるかつ節も日本神話の古事記に登場している。このように微生物による働きは有史以前から人間の生活に豊かな恵みを与えてきている。 しかし一方では，食品の腐敗やヒト及び動相物に病気を起こさせる病原体など人間の生命を脅かすものも多い。 14世紀ヨーロッパの黒死病として恐れられたペストの流行，ガンジス川流域が起源とされるコレラの大流行，また赤痢，チフスなどの流行は多くの人間達の命を奪った。 このように微生物による働きは，人間の生活に豊かな恵みを与える一方で悪い影響も同時に与えている。 そして，20世紀に入ると過去における数々の戦争の影響など時代の流れを受けて食品の分野においても大量生産·長期保存·大量供給方式が一般化してきた。