環境規制における六価クロム問題とその対策

摘要

持続可能な経済発展をめざす技術開発では、環境·品質·コストの3つの課題をクリアすることが求められる。 とりわけ、環境に関しては、良好な地球環境の保全が共通の命題であり、当然そこには生物に対する有害物質の使用規制が含まれる。 六価クロムの有害性については、国際がん研究機関がグループ1（人に対する発がん性がある）に分類しているほか、世界保健機関が飲科水の最大許容濃度を0.05mg/eに規定するなど、人の健康への影響が懸念される。EUは使用済自動車や廃電気電子機器のリサイクルを促進して廃棄物量を大幅に削減し、あわせて人の健康保護を増進するため、これらの製品に含有される六価クロム、鉛、カドミウム等有害物質の使用蔑制を進めている。 いっぼう、米国では作業者の安全と健康保護のため、作業環境中の許容六価クロム濃度を大幅に低減する新しい基準を公布、実施した。 ここでは、六価クロム問題の影響が大きい表面処理工業に焦点を絞り、工業材科および労働安全衛生の側面から、規制の状況や六価クロム代替プロセスおよび代替技術を概観する。