初等、中等理科教育と生物工学教育の関わり

摘要

生物工学教育は主に大学で行われるが，その基礎は中 学校、高校における理科教育にあると考えるべきである. また，小学校理科も無視できない.この章では，小学校' 中学校高校の理科の内容と生物工学教育との関わりに ついて考えてみたい.まず，子供が最初に理科に出会うのは小学校である. 小学校の理科の印象が，その後の理科と関連科目に興味が 持てるかどうかに大きく影響する.つまり，生物工学教 育にとって，小学校理科も無視できないということが分 かつて頂けるかと思う.文都科学省が定める学習指導要 領を見ると小学校理科の目標は「自然に親しみ，見通し をもって観察，実験などを行い，問題解決の能力と自然 を愛する心情を育てるとともに自然の事物、現象につい ての理解を図り，科学的な見方や考え方を養う.」とある.小学校では3年生から理科の授業が始まる.生物工学 に関わる内容としては，5年生で植物を育て発芽，成長 および結実の様子を調べ，魚の卵の成長を観察すると いった内容があり，6年生では動物の呼吸，消化，排泄 および循環の働き，植物の発育に必要な養分について学 ぶ.生物工学に直接関わる内容ではないが，子供が自然 に接する入り口であり，生物工学としても植物工場ゃバ ィォマスなど，子供にも理解できるような分野で関わる ことが重要ではと思われる.