乳製品あるいはカルシウム摂取が体重および体組成に及ぼす影響

摘要

日本において，男性はいずれの年齢階級でも肥満者の割合が増加しており，平成17年度の国民健康.栄養調査の結果では40歳代が最も高く34．1％であり，女性でほ60歳代が最も高く29．0％であった1）。 さらにほ，肥満の若年齢化が進んでおり，男女ともに肥満，太りぎみの子どもがそれぞれ約20～30％いると報告されている。また，2005年に日本においてメタポリックシンドローム（内臓脂肪症侯群）の概念と診断基準が示さゎた。本基準を適用すると40～74歳で男性の2人に1人，女性の5人に1人が，メタポリックシンドロームが強く疑われる者または予備群と考えられる者であると報告された1）。 このように肥満あるいはメタポリックシンドロームの発症増加は，米国のみならず日本においても重要な問題となっている。 このような背景から，食品中の抗肥満成分やメタポリックシンドロームを予防する食事因子の研究が盛んに行われるようになった。 カルシウム，タンパク質，ビタミンDといった乳製品中の成分もエネルギーバランスを調節するかもしれないという報告が出されるようになった。