日本産ササ類（ササ亜連：ァルンデイナリア連：タケ3 における稈鞘の挙動によって特徴づけられる 分枝様式の分類学的意義

摘要

日本産ササ類には，稈鞘の挙動によって特徴づけられる4種類の分枝様式が存在することが分 かった.第一は，分枝が母稈の稈鞘の内部で起こ り，枝の基部が包まれて維持される内鞘的分枝様 式で，メダケ属，ャダケ属，ならびにササ属の大 部分に共通する.第二は，分枝に伴って稈鞘基部 の辺縁側が母稈を離れ，稈鞘全体が枝を抱くよう になる移譲的分枝様式で，スズダケ属，スズザサ 属に共通し，ァズマザサ属の多くに見られる.第 三は，腋芽が母稈鞘の腋芽側を突き破って分枝す る外鞘的分枝様式で，ァズマザサ属のごく一部， ならびにササ属ミヤコザサーチマキザサ複合体の 多くに見られる.第四は，同一の稈に外鞘的，移 譲的の2種類の分枝様式が混在する外鞘、移譲混 合型分枝様式で，ァズマザサ属の一部に見られる. これらの分枝様式は，同定が困難なササ属とァズ マザサ属，もしくはスズザサ属の種群間，ミヤコ ザサーチマキザサ複合体の識別を容易にする.