肥育豚への飼料米の給与と肉の物理、化学的特性

摘要

トウモロコシなどの飼料原料を海外に依存し、飼料価格が大きく変動する中で、畜産農家が安定的に畜産経営を継続することはリスクが大きく、飼料自給率向上は以前にも増して重要な課題となっている。その一方で、食の安全、安心を求める消費者の声や、肉質向上を期待する観点から、飼料米を給与した豚肉生産が注目されている。　これまでの肥育豚への飼料米（食用玄米を含む）給与試験の主たる目的は、余剰米や古米の飼料利用（服部ら1985）、トウモロコシの代替飼料原料としての評価（小林博史ら1984）、生産された豚肉の肉質、食味への影響などを明らかにすることであり、多くの研究が行われてきた。おおむね、それらの結果から、飼料米を給与しても発育は順調でトウモロコシとの代替も可能であり、肉質においては、皮下脂肪の飽和脂肪酸割合が増加することが明らかにされており、筆者らも、特徴ある豚肉生産の可能性を示唆してきたところである（新山ら2003）。