均一構造の抗体: 薬物複合体理研が作製手法開発

摘要

理化学研究所開拓研究本部伊藤細胞制御化学研究室の眞鍋乃専任研究員、山口芳樹客員研究員、伏見製薬所の伏見豊社長、日本ウォーターズの廣瀬賢治マネージャー、国立がん研究センターの松村保広分野長らの共同研究ダループは、抗体の糖鎖構造を改変しつつ糖鎖部分に薬物を結合させた均一な構造の「抗体-薬物複合体(ADC)」を作製する手法の開発に成功した。抗体医薬の一種であるADCは、抗体の特異性により効果的に薬物をガン組織に運び、酵素依存的または徐々に薬物を放出するため、副作用の少ない医薬品として期待されている。このため、均一なADCの合成は安全域を高めるために必要とされ、様々な合成法が探索されている。眞鍋専任研究員によると「複合糖質の有機合成を専門とし、DDS研究も行うなかでヽ分子量15万の巨大糖タンパク質であるADCの均一合成に興味を持ちヽ実用的にも有用であると考えました」という。