大学入試制度の改革と土木工学教育について

摘要

30年続いたわが国の大学入学試験制度が、抜本的に変わろうとしている。文部科学省が、平成26年12月の中央教育審議会の答申を受けて、高校教育·大学教育·大学入学者選抜の一体的改革の重点施策とスケジュールを明示した、高大接続改革実行ブラン(1)を本年1月に策定し公表した。それによれば、平成2年以来、今日まで実施してきた「大学入試センター試験」を廃止し、それに代わる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」(以下、新テストと略称する)を、平成32年度から新たに導入実施するというものである。改革の社会的背景として、生産年齢人口の急滅、労働生産性の低迷、グローバル化·多極化の激動の時代を迎え、新たな時代を見据えた教育改革の必要性を強調している。そして、「知識•技能」偏重型の現行センター試験から脱却し、「知識·技能」を基礎としつつ「思考力·判断力·表現力」を問う新テストと、さらには「主体性·多様性·協働性」を多面的、総合的に評価する大学ごとの個別選抜による大学入学者選抜を推進することを求めている。