「とこしえの美」と「用の美」を求めて

摘要

1996年の年初から石川県庁舎の設計に従事した。設計目標は，意匠や機能の長寿命化，安心•安全の高度化，地球環境配慮，品質とコストの最適化などだった。さらに，新奇さや華麗さを競うのではなく，地域特性を踏まえて土地の文化や伝統を受け継いだ造形要素によるデザインで，権威的でない石川らしいシンボル性を求めた。これらは，貴重な税金を使う庁舎建築のあるべき姿を実現する条件だった。本稿では，県庁舎の提案や設計実務の経験を紹介する。言うまでもなく，本稿に記載した筆者の担当案件は，社内の同輩や後輩との協働によるものである。