酢酸ビニル含量が異なるEVAの動的架橋反応

摘要

エチレン·酢酸ビニル共重合体（EVA)は、柔軟性や接着性、透明性に優れた材料として知られ、農業フィルム、ホットメルト接着剤、太陽電池封止膜など幅広い分野で使用されている。EVAの性質は酢酸ビニル含量により調整することができるが、柔軟性と耐熱性などの相反する性質を両立させることが課題となることが多い。この解決方法として、酢酸ビニル含量の異なるEVAをブレンドする方法が挙げられるものの、特に酢酸ビニル含量の差が大きい場合、これらのブレンド物は非相溶であり、期待した効果は得られない。非相溶ポリマーの相溶性を向上させる方法として、異種ポリマー同士を反応押出する方法が知られている。この手法では、in-situで異種ポリマーが反応した、いわゆるグラフトポリマーが相溶化剤として機能するため相溶性が向上する。しかし、少量の有機過酸化物によりEVA の一部を架橋反応させる方法では、グラフトポリマーの生成以外に様々な反応が生じるため、反応物の組成は複雑となる。本検討では、酢酸ビニル含量の異なる2種のEVAを少量の有機過酸化物で反応させた材料について、その組成を解析した。