人工心肺の貯血レベル安定化自動制御法に関する検討

摘要

人工心肺装置（以下人工心肺）は，開心術を行う際に心血流遮断中の患者の呼吸·循環機能などのすべてを一時的に体外循環で代行する装置であり，医療に大きく貢献している．一方，一般的な人工心肺の操作は手動操作のため，一定の姿勢で時々刻々変化する状況を監視·判断し操作するという精神的作業負荷が高い業務であることが指摘されている［1］．この課題を解決するため，作業負荷軽減をめざす人工心肺の貯血レベル安定化制御に関する研究があり，これらの医療技術の発展は期待されている［2］．そこで筆者らは，医療安全の向上やシステムの信頼性を考慮に入れつつ，特に操作のしやすさやメンテナンス性などを中心にこれらの進展を目的とした人工心肺の自動制御化に向けた検討を行っている．本研究では実際の人工心肺（Technowood：B-750）を用いて，ローラーポンプと貯血槽を，制御システムの主な構成ユニットとした二値制御による自動運転を試みたので報告する．