超耐食性バルクアモルファス合金薄板材の開発

摘要

ガラス形成能の高い合金組成の探索と，圧延時の温度管理が容易な恒温シース圧延法の開発により，板厚約3mmのNi系バルクアモルファス板材の作製が可能となった。 また，得られたバルク材の耐食性は，実機環境においてSUS316Lの100倍以上であり，プロジェクト目標を超える耐食性を有することを確認した。 このことにより，実用的形状を与えられれば，超耐食材料として実用化できることが実証されたと言える。 今後は実用化を想定した形状の大型化が大きな課題となるが，過冷却液体状態でより加工性に優れた合金組成を見出すことが必要となると思われる。 さらに低コスト化も重要な課題である。 また，本研究にて開発したアモルファス合金の加工成形技術は，耐食性に限らず，アモルファス合金の種々の優れた特性を活かした機能性材料の創製と，アモルファス合金の用途拡大にも頁献できるものと確信する。 最後に，研究の遂行にあたってご指導，ご助言を頂いた東北工業大学橋本功二教授，京都大学石原慶一助教授，スーパーメタルアモルファスA研究体（川崎重工業，三井造船,RIMCOF）の皆様に深く感謝いたします。