肺炎球菌に対するIevofloxacinおよびgarenoxacinの抗菌力とPK－PD理論による有効性と耐性化抑制に関する検討

摘要

キノロン系抗菌薬であるlevofloxacin（LVFX）およびgarenoxacin（GRNX）を用いて，肺炎球菌に対する抗菌力の比較とpharmacokinetics－pharmacodynamics（PKEPD）理論による有効性および耐性化抑制をMonte、Carlo Simulation（MCS）を用いて評価した。有効性評価に使用したPK－PDパラメータはAUC/MICで，ターゲット倍を30とし，その達成率を算出した。また，耐性化抑制の指標としてC_max/MICが5以上になる達成率も算出した。評価に用いた用法·用量はLVFXは100mgx3回/dayと500mgx1回/day，GRNXは400mgx1回/dayとした。薬物動態パラメータは第Ⅰ相臨床試験におけるAUC倍を使用し，さらにLVFXについては腎機能中等度低下時におけるシミュレーションも行った。結果，抗菌力の比較でMIC_50/MIC_90はLVFXで1．0/1．0mug/mL，GRNXで0.03/0.06mug/mLであり，GRNXが優れた抗菌力を示した。MCSを用いた有効性評価（AUC/MIC＞30）では，GRNXの達成率が99．67％となり最も高い値を示した。LVFXは腎機能正常の場合，従来の投与方法である100mgx3回/dayでは，達成率が1O．77％と低値であったが，今回承認となった500mgx1回/dayでは達成率が82．50％と上昇した。腎機能中等度低下時における達成率は，100mgx3回/dayで88．30％，500mgx1回/dayで97．45％であった。また，耐性化抑制評価（C_max/MIC＞5）においても，GRNXの達成率が97．88％と最も高い倍を示した。LVFXでは500mgx1回/dayでも達成率が60％台であった。LVFXは500mgx1回/day投与が可能となったことで，従来の投与方法よりも高い有効性が期待できると考えられるが，耐性化の観点からすると今後も全てを抑えるには困難であると考えられた。一方でGRNXはMCSの結果から，有効性および耐性化抑制において優れた効果を発揮できると考えられた。