血友病に対する治療の進歩（1) 長時間作用型薬剤·抗体医薬の面から一

摘要

血友病に対する治療薬は，全血輸血から新鮮凍結血 漿，クリオプレシピテート製剤を経て，凝固因子濃縮製 剤へと発展を遂げてきた。凝固因子濃縮製剤はさらに血 漿由来から遺伝子組換え製剤へと進歩し，血液を介する 感染症に対してより安全性が高くなると同時に，定期補充療法の導入によって血友病患者のQOLは飛躍的に向 上している。しかしながら，一般に凝固因子製剤の半減 期は短く ，一週間に何回も静脈注射が必要であるという 治療現状は，依然として非常に苦痛を伴うものであり， 特に小児患者では血管確保の難しさの影響も加わり，さ らに大きな障壁と化している。また，インヒビ夕一の出 現は既存の止血治療を極めて不安定かつ困難なものと し，医療経済学的な側面からも血友病治療の大きな課題 となっている。このような背景を踏まえ，近年，より持 続的な治療効果を発揮する長時間作用型薬剤や，より強 力な止血凝固作用を示す作用増強型バイパス止血薬剤に 加えて，全く新しい治療コンセプトを有する血友病の新 規治療薬が各社で開発されている。本稿では，臨床 治験中の薬剤も含め，血友病治療の最前線について概説 する。なお，記載内容は2013年12月時点の情報に基づ くことを了承されたい。