肝と酸化ストレス

摘要

酸化ストレスとは，生命現象を支配する酸化反応と 抗酸化反応の微妙なバランスが破綻し，生体が酸化傾 向に傾く現象であり，生体の細胞は絶えず酸ィヒストレスに暴露されている.活性酸素種（reactive oxygen species ；ROS)には，ヒドロキシラジカル（.OH)など のように，原子核の電子軌道にある対電子のうちの1 つが欠けた不対電子をもつフリーラジカルと，過酸化 水素などの非ラジカルタイプの2つに分類される.ROS はミトコンドリアの電子伝達系，ミクロソームのチト クロームP450や一酸化窒素（NO)合成酵素系などで 正常の状態でも産生されるが，ROS産生過剰，もしく はROS消去系の低下により，ROS産生系が優位となると，細胞は酸化的障害を受ける.