摩擦調整剤（FM）の機能と用途について

摘要

近年，地球環境保護のため，環境関連法規制の改正や強化が進められており，自動車用エンジン油やギヤ油を中心とした潤滑油製品において，省エネルギーに関する研究開発が活発に行われている。 特に，二酸化炭素排出量削減等の環境負荷低減のために省燃費化は重要な課題となっている。 この省燃費性の観点から潤滑油に求められる機能を見ると，摩擦等によるエネルギー損失を，低減することであり，一般的な潤滑油では摩擦損失を低減することに他ならない。 潤滑領域と摩擦の関係を図1に示す。 横軸は潤滑条件を表すパラメータである。 流体潤滑領域では，潤滑部に十分な油膜が形成されており，この領域における摩擦は油の粘性抵抗で決まり，摩擦損失を低減するためには，潤滑油をできるかぎり低粘度化することが有効である。弾性流体潤滑領域では，高荷重により接触部が弾性変形を起こしながら，高圧下で著しく粘度が上昇した油膜で潤滑されている。