磁気センサとLIDARを用いた自己位置推定手法の開発

摘要

本稿では，従来の磁気ナビゲーション（従来法）に改良を加えた手法（改良法）および，改良法（2章で説明）とLIDARを用いたMCLを区間ごとに切り替える手法（5章で説明）を提案する．提案手法では，磁気ナビゲーションに改良を加えることで，柔軟な経路計画および磁場変動の検出を可能とし，磁気ナビゲーション自体の性能を向上させる．さらに，LIDARを用いたMCLと切り替えることで，大域的な移動において磁気ナビゲーションの位置精度が低下する問題を解決する．手法の切り替えは，環境に合わせて手動で設定し，周囲から物理的なランドマークが観測できる区間ではLIDARを用いたMCL，開けた空間や歩行者の影響が大きい区間では改良法を用いて自己位置推定を行なう．提案手法では，パーティクル集合に対して常に有効な操作を行なうため，パーティクルの分布を其値近傍で密に保つことが可能となり，高い自己位置推定精度を保てる有用な手法である．なお，提案手法を用いてつくばチャレンジ2011の試走会において6回の完走を達成した．本稿では，提案手法の詳細と学内にて行なった検証実験の結果を報告する．検証実験から，周囲から物理的なランドマークが観測できない区間を含み，かつ，局所的な磁場の変動を有する環境における提案手法の有用性を示す．