烏龍茶や紅茶の香気生成の鍵酵素β－プリメベロシダーゼの基質特異性

摘要

リナロール，ゲラニオールなどのアルコール系香気は茶の重要な香気成分である．これらのアルコール系香気は主に配糖体として存在し，製造工程中に内生酵素により加水分解され生成すると考えられている．筆者らは烏龍茶や紅茶の花様の香気の生成機構を分子レベルで解明することを目的として，これまでに数種のアルコール系香気前駆体を単離し，主な前駆体が二贋配糖体のβプリメベロシド（6－0－β-xylopyranosylβ－D－glucopyranoside）であることを明らかにした．さらに新鮮チャ葉中には，これらの香気前駆体から香気を生成する特異なグリコシダーゼであるβ－プリメベロシダーゼが存在することを確認した．最近，小林らは紅茶製造の各工程時の香気前駆体量を定量し，これらの香気前馬区体が紅茶の香気生成に寄与していることを示した．以上より，β－プリメベロシダーゼが茶のアルコール系香気生成に重要な役割をすると考えられているが，本酵素の基質特異性等の酵素学的な特性は明らかではない．そこで筆者らはさまざまな二億配糖体を合成し，これらの基質を用いて本酵素の酵素学的特性を調べることで本酵素の茶の香気生成機構にかかわる役割を確かめることにした．