Cabernet SauvignonおよびMerlotの副梢果房を用いた赤ワインの醸造

摘要

温暖化による気温の上昇は，ブドゥの開花およびべ レーゾンの時期を早め，夏季の高温期とブドウの成熟 期とが重なることにより，ブドウのリンゴ酸含有量の 急激な減少，着色不良.あるいは，香りの欠乏などが 生じ，ワインの品質に大きな影響を与えると考えられ ている。特に，赤ワインは，原料ブドウの着色， すなわち果皮のアントシァニンの蓄積が重要であるが. その果皮の着色は栽培環境，とりわけ気温に大きく影響 され,高温条件下ではアントシァニン生合成の阻害5—8>に加え，生合成されたアントシァニンの消失を促進す ることも報告されている9)。気候変動に関する政府間パネル（IPCC)の第5次 評価報告書は，2100年までの世界平均地上気温の変 化が0.3-4.8degCの範囲となる可能性が高いと予測し ている">'。日本の年平均気温は1898年の統計開始以 来100年あたり1.14degCの割合で上昇しており，顕著な 高温を記録した年は概ね1990年代以降に集中してい る。一方，杉浦らは果樹栽培への温暖化の影響 が既に顕在化しつつあることを明らかにしており.