戦後の日本国内の羊の栄枯盛衰n

摘要

現在は日本で羊と言えばサフォーク種とい うのが当たり前になっていますが，それは肉の利用が中心となつた昭和40年代後半から のことであり，それ以前はコリデール種が中 心であった。コリデール種はメリノ種とリン カーン種の交配で作られた品種で，毛肉兼用 種であり，産毛量は6 kg程度あった。飼育 目的は当時は羊毛生産が主体ではあったが， 以前私が飼育したコリデ―ル種ではサフォー ク種との交配でも満足のいく産肉性があつ た。コリデール種は戦前から優良畜が輸入さ れて改良が加えられ，日本コリデール種の作 出が進められた。登録制度が制定され，日本 コリデール種として品種が成立すると，飼育 頭数が増え，登録も増加し，日本各地で盛h に共進会が開催された。その遺伝資源が国産 羊毛需要の減退であつという間に喪失したこ とは惜しまれるとともに，日本の畜産が文化 として定着していなかつたことを，その希薄 さを象徴している。日本でもレア'シ一プ研 究会がマンクス.ロフタン種という羊の保護 活動を行っているが，羊が歴史や文化，宗教 に密接に関わっている英国では，主要品種だ けでも40品種程度。それ以外のレアブリ— ズはレアブリ一ズサバイバルトラストという 組織によつて遺伝資源が守られている。