戦後国内建築展にみる日本の住宅作品への評価

摘要

2010年代以降日本では、学芸員や評論家などの第三者が複数の建築家の作品をキュレーション1)して行う建築展が多くみられるようになった。専門･非専門問わず、ひらかれた場で様々な建築資料を用いて行われる建築展は着目に値するメディアといえる。建築展では作品群が展示テーマを体現する一方、作品はある評価を受けているといえる。中でも日本の住宅作品は、第三者による建築展で多く取り上げられ、多様なテーマと作品同士の組み合わせで展示構成されることで、新たな視点による作品評価と建築史的解釈が提示されている。本稿では表1の戦後国内で開催された建築展13件2)の図録を資料とし、作品選定と展示構成の基となる開催主旨文と各作品の説明文を読み取り、建築展によって発信される日本の住宅作品に対する評価の視点と内容の概要を捉えることを目的とする。