畜産の歴史は病気との戦いだったー「備えあっても、つねに憂える」の心構えが必要ー

摘要

家畜の衛生問題が、今ほど社会の関心を引いている時代はないように思われる。 家畜衛生の目的は、家畜の健康を確保して、人の食料として重要な動物タンパク資源を安全に、かつ安定的に生産し、供給することにあるわけで、その社会的な使命は今も昔も変わることはない。しかし、その取り組みを振り返ってみると、畜産事情そのものの変革や畜産を取り巻く社会情勢の変化に応じて、また学問や技術の発展に則して、家畜衛生のありようやその戦術と戦略にも時代的な変遷をみることができるだろう。 そこで、与えられた紙面の範囲で、過去半世紀の家畜衛生の歩みを短く回顧し、将来への展望の一助としたい。