海外に負けない金型：デジタルマイスタープロジェクトによる型技術の革新

摘要

日本の製造業とともに発展してきた金型産業も，このところの長びく不況の中で，苦しい経営を余儀なくされている．また，多くの製造業が海外に製造拠点を移しており，国内の仕事量自体が減少してきている．さらに，東南アジアを中心とする諸国の金型産業も次第に力を付け，特別に難しい金型を除いて自国で供給できる体制が出来上がりつつある．国によってはアジア新興工業国の金型輸出が増加しており，その一部は日本にも入ってきつつある．特に中国の製造業の発展はめざましく，「世界の工場」となりつつあり，その金型産業もかなりの規模に達しているものとみられている．このままの調子で日本の製造業が海外に出ていくと，いずれは製造業の空洞化により日本の産業構造は大きく変化する．製造業は付加価値の高い産業であり，日本の経済的繁栄には欠かせないものである．