直接原型溶射による金型製造法の開発

摘要

近年、中国自動車市場の急速な発達とともに顧客の短納期·低価格·個性化志向もますます強まり、各自動車メーカーは、この対応に必死になっている。このような厳しい環境に取り巻かれている金型産業は、いっそうのコスト低減·納期短縮·高品質化の型製作を余儀なく要求されるため従来よりさらなる低価格、迅速かつ高品質の金型製造法に対し、強い期待が集まっている。 従来の転写精度の高い転写型製作法としては電鋳や溶射の方法がある。 電鋳は転写精度は高いが、製作に時間がかかり、迅速型とはいえない。 溶射は手軽で小寸法より大寸法まで可能であり、RP モデルと皮シボモデルを使って、ステンレス鋼と超硬合金の射出成形用金型を製作する方法が中川、張によって提案されたものである。 しかし、この技術のカギともいえる耐熱かつ溶射層からの分離を両立させる被溶射原型の製作には2回の転写を要するため、作製時間やコストの増加、寸法精度の損失を招いている。 そこで本稿では、この2回の転写工程を省き、被溶射原型を直接製作して、その上に溶射する新しい溶射金型製作法を開発し、実際にこの方法により、ステンレス鋼や耐摩耗合金の自動車用金型を製作したので、その結果を報告する。