レプチンを用いた肥満症，糖尿病に対する 新しい治療法の開発

摘要

脂肪細胞由来ホルモンであるレプチンは，摂 食抑制とェネルギー消費亢進による強力な体重 減少作用を有することから，その発見当初より 抗肥満薬としての可能性を期待されてきた.し かしながらレプチン欠損症のようなごく一部の 肥満を除いて，肥満症患者では血中レプチン濃 度が高値であるにもかかわらず，摂食量は低下 せず肥満が是正されないことから，「レプチン 抵抗性」状態にあり，レプチン単独での抗肥満 薬としての臨床応用は困難と考えられてきた. 筆者らの研究グループでは，内分泌ホルモン の考え方に基づき，レプチンが最も効果を発揮 する病態，すなわちレプチン不足が病態の主要 因と考えられる「脂肪萎縮症」に着目し，レプ チンのトランスレーショナルリサーチを推進してきた.そして2013年3月，レプチンは脂肪 萎縮症に合併する代謝異常改善薬どして，世界 に先駆けて日本で初めて薬事承認を取得し，臨 床での使用が可能となった.