教育学からみたェコヘルス

摘要

教育学からみたェコヘルスを論じるには，"教育学""ェコヘルス"という2つの大きなキーワードを読み解 く必要がある.まず，著者らが考えるェコヘルスは，社会?文化?自然の生態系，社会開発，人間の生活活動， 人間の健康という大きな4つの要素の持続的で調和的な関係性を実現しょうとする健康観であり，探究する硏 究領域である.同時に，学習し実践する教育領域とも考えている.また，日本の教育学には，すくなくとも2 種類の教育学がある.学習過程，教育の方法や構造?制度を研究する学としての教育学と学校で教鞭をとる教 師を養成するための教育学である.そこで教育学とェコヘルスの関係性を，UNESCOの教育，健康教育，持 続可能な開発のための教育の概念との関連，日本の環境教育のルーツである環境教育と公害教育の変遷，さら に最近の保健体育?保健の高校の教科書の内容から検討し，考察を加えた.生態系，社会開発，人間の生活活 動，人間の健康の相互関連の深さを踏まえ，持続可能な社会の開発?発展と人間の良好な健康の両立をめざす には，ェコヘルスの理念に基づいたェコヘルス教育は鏈となる重要な教育である.しかし，現状では課題や障 壁が多く，学校教育ならびに教員養成のための教育学では取り組みにくい状況にある.