連載⑥～食の断面図－鰹だしの不思議な魅力を探る(6)：鰹だしは脂肪の摂取を抑制する可能性をもっている

摘要

鰹だしは本能的に動物に好まれる風味であること，そしてカロリーを補正してコーン油と比較して行った二瓶選択法において鰹だしはコーン油に匹敵する嗜好を持つことがわかった。又，執着性を調べるCPP法において鰹だしは，執着性，習慣性を示した。 更に，鰹だしに対する執着は，脂肪と同様に，脳内でのオピオイド物質の生成によることやもっと食べたいと思わせる物質であるドーパミンが関与していることも示唆された。 鰹だしが脂肪と同じ様に習慣性を引き起こすことが推察されたのだ。 欧米の脂肪を中心とした食文化に対抗する形で日本やアジア圏のだし風味を中心とした低脂肪の食文化が存在し得た根拠を示す試験結果といえる。 脂肪は，脂肪酸とグリセリンが結合した物質を中心とした普遍的物質であり，1gに9kcalを含有する高カロリーがその魔力の源泉と推察される。 動物は飢餓を生き延びる本能として高カロリー物質をどん欲に摂取する術を生得したのであろう。