発生メカニズムから理解する射出成形不良の原因と対策：流動の途中に発生しやすい成形不良⑩ひけ（シンクマーク）

摘要

前回（型技術3月号）は真空ボイドについて述べたが、ひけと真空ボイドは関連しているので合わせて読み進めていただくと、より理解しやすいものになる。ひけは成形品の表面に凹状にくぼみが発生するもので、体積収縮量の大きい肉厚部に現れる。充填された樹脂は冷却される過程で体積収縮が発生するが、このときの表面のスキン層の剛性と樹脂が収縮しようとする力のバランスで、スキン層が薄いと成形品中心部に引き寄せられ成形品表面にひけとなり、スキン層が厚いと成形品中心部から樹脂が吸い寄せられてボイドとなる。肉厚部のスキン層の形成は成形品表面の冷却速度に関係し、冷却速度が速い（急冷される）とスキン層が厚くなりボイドとして、逆に遅い（徐冷される）とスキン層が薄くひけとして現れる（図1、図3）。