ガスタービン用潤滑油の現状と展望

摘要

動力エネルギー発明の歴史を紐解いた時,ガスタービンの歴史は非常に浅く,ガスタービンの実用運転開始は1936年である。 9世紀には既に実用化されていた蒸気タービン,ガソリンエンジンなどの各種原動機と比較して,ガスタービンは最も新しいエンジンといえる。 さらに,航空分野においてガスタービンはそのニーズに合致したために,約10年程で市場を席巻したが,他の用途,特に発電用途については1980年代後半にLNG焚きコンバインドサイクルガスタービンが登場するまでは,非常にマイナーな存在であったことは否めず,近年急速に技術革新のあった技術の一つである。 そしてその発展の歴史は,「高温こそ命」の言葉に凝縮されるような,高温化との戦いであったことに異論はないであろう。 潤滑油は設備の潤滑,冷却,シール等の役割を担う重要な要素であり,ガスタービン油の技術開発も,この高温化に伴ったものであった。