断根およびウニコナゾール処理がモモ1年生実生の花芽分化に及ぼす影響

摘要

モモは生食用のみならず庭園樹や切り枝など観賞用としても広く利用されている（吉田ら，2000）．モモは世代交代が早く，3年目で開花結実するため，他の果樹よりも遺伝的同質化が進んでいる可能性があり，自家受粉による実生は母樹の形質をほぼ継承することが多い（石田，2000）．木本性植物の実生は一定の幼君期を経て，幼君相から生殖相へと相転移（相的転換）をする（黒田，2002）．幼君相から生殖相への相転移ほ1個体の樹の中にもみられ，樹の基部ほ常に幼君相であり，生殖相を示す枝の先端部との間には移行相（過渡相）が存在する（黒田，2002）．そこでモモの育種年限をさらに短縮するためには，相転移を促進し，移行相または生殖相にある側芽に速やかに花芽分化を誘導する必要がある．