自己と他者への信念や期待が表情の感情認知に及ぼす影響－成人の愛着的視点から－

摘要

Bowlby（1973，1982）の愛着理論は，某本的に感情経験やそれらの調節に関する理論であるとされる（Tidwell．Reis，＆Sha＼′er、1996）。 より与￣主体的に言うならば，愛着理論は，個人が他者の感情的，情緒的反応に適した形で白分の感情をうまく調節することができるか，その方略に関する群論であると考えられる。 実際，Bowlby（1980）自身も，愛着の形成や維持，崩壊の際には激しい感情の多くが生じることから，"感情の心理学，精神病理学とは，おおむね情緒的絆についての心理学，精神病理学である（p．40）"と述べている。 このようなBowlbyの愛着理論は，動物行動学的な視点カ1ら，元来，生得的な愛着システムの機能的特質を強調するが，それとともに，彼は，後の首育石との関係や養育環境によ′ブて形成される愛着の個人差についても言及している（Bowlby、1973）。 Bowlbyべるところによると，乳幼児期における愛着関係の特質は，養育者の情緒的受容性や乳幼児J）要求へ刷叉応性によっておおむね規定されていることから，たとえば，安定した安心感が養育者から提供されない場合，乳幼児は白身の心的な安心感を確保するため，過度に感情的な側面を表出することで養育者の関心を引くか，もしくは養育者王対する興味仁?体を軽減させていくこととなる。