美容外科領域における甲状腺眼症—Blepharoplastyを希望する患者のなかには 甲状腺眼症を発症している場合がある一

摘要

甲状腺眼症は，眼窩?眼瞼組織に存在する甲状腺刺激ホルモン(TSH)レセプターに対する 自己免疫異常による炎症性病変と考えられてい る。外眼筋の肥大による眼球突出や複視，ま たは眼瞼後退を呈する症例は形成外科領域でも 散見されるが，脂肪織の変化が主として現 れる症例においては，眼瞼周囲の腫れぼったさとたるみという整容上の観点のみが重要視さ れ，正確な病態が把握されていないことがあ る。今回我々は，上眼瞼のたるみを主訴とした患者に対しblepharoplastyを行い，後にこの 症状が甲状腺眼症によるものであることが明ら かとなつた症例を経験し，若干の文献的考察を 加え報告する。