全身性エリテマトーデスの経過中に発症した血球貪食と唾液腺腫脹を伴う組織球性壊死性リンパ節炎－Kikuchi-Fujimoto s disease－

摘要

症例は37歳女性1997年4月にSLEと診断され，ステロイド剤により艮好にコントロールされていた。 1999年3月下旬より微熱と右腕窩部痛が出現，4月になり38 deg C台の発熱があり，顔面紅斑が増悪した．入院とステロイド剤増量により，紅斑は消極したが発熱は持続， 4月下旬には39－40 deg CCの弛張熱となり，白血球減少（2，000/ml）と肝機能異常が出現した。 その後，頚部·腋窩リンパ節，両側耳下腺·顎下腺腫脹がみられ，4月末の右腋窩リンパ節生検により，組織球性壊死性リンパ節炎の病理診断を得た。 5月になり，汎血球減少と肝機能異常が進行，ferritinが増加し骨髄穿刺検査で血球貪食細胞（3％）を認め，血清INFγが著増した。 ステロイドパルスにより，約4週の経過で臨床症状·異常検査値が改善した。 本症例は，SLEの経過中に組織球性壊死性リンパ節炎を合併発症し，両側唾液腺腫脹と骨髄血球貪食を伴っていた。 唾液腺腫脹と血球会食はともに組織球性壊死性リンパ節炎の一症状と考えられる。 過去に類似例の記載はな　 く，文献的考察を加え報告する。