粘膜免疫の特殊性を応用した炎症性腸疾患に対する新しい治療法

摘要

近年，免疫学·分子生物学の進歩に伴い，潰瘍性大腸炎とCrohn病の病態が徐々に明らかとなり，より特異的な治療法が試みられるようになった，とくに，欧米におけるCrohn病に対する抗TNF-抗体の臨床応用の成功はめざましく，わが国でも臨床治験を終え，臨床での応用がまもなくスタートするものと思われる．最近，このような特異的な治療法をさらに効率よく臨床応用しようとする読みがなされてきている．まず，腸管内に正常でも存在する腸内細菌に着目し，これを担体とするdrug deIiveryシステムとする画期的な治療法である．さらに,炎症性腸疾患など臓器特異的な自己免疫疾患の治療法として，著者らは，健常状態では発現せず,炎症状態に炎症臓器に発現する分子をターゲットとする治療法を開発した．