冠動脈硬化とメタポリックシンドローム

摘要

心血管イベントの原因として粥状動脈硬化病変の進展による血管内腔の狭窄だけでなく,不安定プラークの破綻とそれに伴う血栓形成という概念が提唱され,急性冠症候群とよばれている.どちらもコレステロールの蓄積が大きな原因のひとつであるか.近年その量的問題だけでなく,small dense LDL,酸化LDLといった質的な問題がクローズアップされている.これらのLDLやレムナントリポ蛋白が不安定プラーク形成に大きく関与しており.また.高脂血症や耐糖能異常.高血圧といったインスリン抵抗性に基づく病態であるメタボリックシンドロームにおいて.この質的変化が促進されやすいと考えられるようになってきたのである.動脈硬化の進展を考えるとき.その背後に存在するインスリン抵抗性についても考えていく必要がある.