産業組織における繁忙感規定要因に関する研究-忙しさの認知構造モデルの構築に向けて-

摘要

近年日本の産業現場における労働災害の状況 は，度数率（労働lil害の発生頻度），強度率（労 働災害の重篤さの程度）ともに大きな減少は見ら れず（厚生労働省.20131),様々な産業分野に おいて，複数の死傷者を伴うような重大事故が 引き続き免生している（2005 4 25鉄道脱線事 故，2008/ 7/ 3愛媛県揮発油噴出，2009/12/24 大阪市化学工場爆発，2011/1/18大阪市誤輸血， 2011/ 9/22千葉市設備衝突，2012/ 9/29姫路市 化学工場爆発，2012/12/11福山市高炉転落など）。 このような事故は多くの要因が複雑に絡みあつ て発生していると考えられるが (e.g., Dekker, 2006),当事者である現場従業員は，「忙しくて ついうつかり」「'にし過ぎてチエツクを怠った」 などと忙しさを一因として報告するケースが見ら れる（e.g.，藤田，2003)。特に保守業務におけ る過度の時間圧は，手順書からの逸脱やラプス（短 期的な記憶の喪失）を増加させ，危険性が高いと の指摘がある（Reason& Hobbs, 2003)。