腹腔鏡下胃手術を行ううえで知っておきたいこと， 知っているといいこと

摘要

1990年に胃癌に対する低侵襲手術である腹腔鏡補助下幽門側胃切除が行われてから本邦でも腹腔鏡下胃切除（以下，LDG)は急速に普及し， 内視鏡外科学会によるアンケート調査の結果， 年間約2,500例ものLDGが施行されており，さらにその普及は拡大している。LDGの利点をあげるとすると，出血が少ない，術後のリンパ漏が少ない，拡大視効果により正確な手術が可能，術後疼痛が少ない， 術後の癒着が少ない，術後の回復が早い，などがあげられる。しかし，手技の特殊性から，開腹手術ができるからといって，すぐに腹腔鏡の手術ができるかというとそうではない。体位のポジショニング，器具のセッティング，ポート挿入などの執刀前の準備，デバイス，とくにエネルギーデバイスの使い方，内視鏡下胃切除独特の視野展開など，腹腔鏡下胃手術を施行するうえで，知つておきたいこと，そして知っているといいと思われることを中心に述べたい。