食品の香りとその特性 -魅力的な食品のための香り成分の研究-

摘要

日本における加工食品のバラエティーは，世界でも まれに見る豊富さであり，茶やコーヒーなどの飲料, ガムやチョコレートなどの菓子，ヨーグルトゃチー ズなどの乳製品，味噌や醤油などの調味料.ハムや ソーセ一ジなどの畜肉加工品など，様々な製品群があ る.繊細な香味を楽しむ茶や新鮮な香味が良いとされ るコーヒーのように，香気は製品の価値を左右する重 要な要素のひとつであり.嗜好性に優れた香気を賦与 し，淹れたてや作りたての新鮮な香気を保持すること は，製品の品質向上のための重要な課題である.しかし. 食品の香りの鍵となる香気成分（香気寄与成分）や香 気劣化に関与する成分（オフフレーバー成分)，さらに， それらの化学的，あるいは感覚的な特性には不明な点 が多ぐ加工食品の品質向上（良質な香気の賦与や新 鮮な香気の保持など）を効果的に行うための基礎的な 知見が強く望まれている.さらに.食品の香気成分に とって，口腔における発現特性（フレーバーリリース） も重要な特性のひとつであり.そのコントロールを可 能とするためには，個々の香気成分におけるフレーバー リリース特性を理解することも重要である.