農村地域における地域資源を活用した集落経営の実践とその課題

摘要

私は，農村地域における地域資源の賦存状況並びにその活用方法に関する研究に取り組んでいる。 多くの農村地域においては，地域に古くから伝わる伝続芸能や年中行事，各々の地域に適した農地活用や農業生産技術等の地域固有の地域資源が豊富に賦存していた。 これらの地域資源は，地域に住む住民間の自助努力によって維持，保全が成され，集落内の社会環境及び農業生産環境の向上を図るための重要な計画要件として活用されてきた。 このことは，現代の農村地域における自立発展的且つ永続的に機能し得る農村活性化の条件として欠かすことの出来ない重要な計画要件であり，地域それぞれの個性を発揮し得る地域資源活用の具体的な方法論を得ることが必要であると考えている。 まず，地域資源研究の前提条件として，農村地域における地域資源を如何様に捉えるかが，地域資源の維持，保全並びに農村地域の国土形成を考える上で重要な計画要件となる。 対象としている地域資源は，農業集落の機能的，構造的な特質を考慮し，以下の様な視点から地域資源を定義し，内容を設定した。