食事摂取量の選択的な過小評価

摘要

習慣的な食事摂取量を正確に把握することは，食事と健康に関する研究において必要不可欠である。 しかしながら，二重標識水（doublylabedledater：DLW）法により客観的に測定された総エネルギー消費量（total energy expenditure：TEE）を用いて，推定されたエネルギー摂取量（energy intake：EI）の妥当性を検討した研究の多くは，使用された食事評価法が何であれ，日常生活を送る人々の習慣的な食事の把握は困難であるということを示している。 日常生活を送る人々におけるEIの過小評価［under－estimation：（EI－TEE）／TEExlOO］の平均値はしばしば0～50％と大きく~(1-3)），また，欧米諸国で実施された37の食事調査におけるEIの平均値をエネルギー必要量の推定値（Goldbergのカットオフ）と比較した総説においても，EIの過小評価は広範囲に観察されている~(4,5)）。 さらに，EIの誤評価[mismeasurement：過小評価と過大評価（overeStimation）］の大きさは個々人で大きく異なり（EI／TEE：0．2～2．0）~(6～9)），また，EIとDLW法によって測定されたTEEとの相関は比較的小さい（r＝0.06-0.55）ということが示されている~(6～14)）。 EIの過小評価に関連する要因としては，body massindex（BMI）といった身体的要因，社会的望ましさといった心理的要因，西洋文明化といった文化的要因など，さまざまなものが報告されている~(12～19)）。 これらに加えて，ある場面でEIを過小評価された人は，用いられた食事評価法が何であれ，次の場面でもEIを過小評価される可能性が高いようである~(11,20)）。