立木の幹内部の水·元素分布を細胞レベルで解析する: 立木凍結固定伐採法とクライオSEM/EDX法

摘要

木材の中の水分布を解析する方法として最も多く用いられているのは，ブロックを切り出して重量を測定する含水率測定であろう。また粉砕し分析することで成分組成を知ることも出来る。しかしながら生きた樹木は当然水を含んでいるため，生きているときの樹体内部の様子を知るためには水の存在下での実験が重要だろう。本稿で紹介した立木凍結固定伐採法とクライオSEM/EDXを組み合わせた手法を用いた研究により，立木の内部で起こる現象解明に少しでも寄与したいと考えている。本書の多くの読者は生きた樹木よりも死んだ樹木=木材を扱うことが多いと思うが，水や成分についての実験をするときに，凍結手法のことを思い出していただけると幸いである。