フーリェ変換質量分析計による未知スクリーニング分析を 活用した水処理プロセスの評価

摘要

水中の溶存有機物（dissolved organic matter ： DOM) は，通常，0.2〜0.7μm未満の画分として操作定義される。浄水処理において，凝集沈殿-急速砂ろ過のみではDOMを十分除去することができないため，DOMに起因する水質問題が顕在化する場合が多い。従来，複雑なDOMの組成を分子レベルで解析することは現実的に不可能であったため，フミン酸ゃフルボ酸などの操作定義による分画や紫外吸光度などのバルクの特性値によってDOMは間接的に捉えられてきた。したがって，DOMの中のどのような分子がトリハロメタンの前駆物質になつているのか，膜ファゥリングを引き起こしているのか，といった因果関係まではいまだ明確にはされていない。ブラックボックスであるDOMの中身を理解し，水質障害との関連性を直接的に読み解くことが,水処理プロセスにおけるDOMの処理方法や処理条件の最適化には必要である。