無電荷苦味物質に応答する味覚センサの開発

摘要

苦味を客観的に評価する方法として味覚センサを用いた評価が導入されている．味覚センサはセンサ受容部に脂質高分子膜と呼ばれる人工的な膜を備えており，脂質高分子膜と味物質間の静電・疎水性相互作用による膜電位の変化を応答として出力する [1]．現状の医薬品苦味用センサはカフェイン等の無電荷苦味物質を検出することができない．しかし，我々の先行研究において，2,6-dihydroxybenzoic acid (2,6-DHBA) 溶液に浸漬し修飾した膜を用いることでカフェインに対する応答が得られることが分かっている [2]．この応答は膜中の2,6-DHBAとサンプル中のカフェインが水素結合を形成し，2,6-DHBAの分子内水素結合が解離され溶液中のH+との結合によって生じる膜電位変化と考察されている [3]．本研究ではカフェイン等の無電荷苦味物質に応答するセンサを開発するとともにその応答機構の解明を目的として研究を行った．